紅炎の向こうにある光

時雨

やっぱり暇、か。

というのが日本帝国東京都立藤宮高等軍校に編入した晴 時雨（はれまき しぐれ）の感想だ。

晴れと書く名字なのに、なぜ名前が時雨なのか…。授業中そんな答えがありそうでなさそうなことを考えていた。

小さい頃、小等軍校に上がる前くらいだ。両親に聞いたことがある。

なぜ晴れなのに雨なの？と。

二人は夕食の仕度そっちのけで二時間議論した。どっちがその名をつけたのか、と。白熱した議論だった。結論は出なかった。大喧嘩になりそうな二人を泣いて止め、夕食を作ってもらうのは大変だった。今でも覚えてる。

後日、テレビで天気予報を見ているときに由来が判明した。

なんでも産まれた日の天気、晴れ時々雨だったそうな。

その時はGood nameと思ったらしい。

大泣きした。

そんなことを考えていて、ふと思ったのだ。

やっぱり暇だ、と。

ましてや授業中にこれ、なのだから。