時雨

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入校した時点で准尉から始まる階級システムの中で、時雨は一年終了時二尉になっていた。 一年で学兵会に抜擢されたからなのだがかなりのスピード出世には違いない。 本物の軍に入るにしろ、どこかに就職するにしろ将来有望であることこの上ない。 ではなぜ転校したのか。 結論をいうと、非情になりきれなかったから、なのかもしれない。 心を、殺しきれなかった。 入れたのだから適性はあるのだろうが、一年いてもうたくさんと思ったのだ。 仲のいい友はいた。居心地もよかった。いいのはそれだけ。 やってることはわりとひどいことだった。中央政府にとって敵性ありと観られる組織や目障りな組織は容赦なくぶっつぶす。機動兵器で。 それが任務の一つだった。 周りの奴らはあえて考えないようにしていた。それが正しいのか間違っているのか。耐えられない奴から消えていった。 歯車からこけたものから置いていかれる。高専はそういう世界だったのだ。
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