時雨

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人が死ぬのを見るのは平気だ。殺すのも慣れてる。だけど。 そこにあったのは虐殺。完全な制圧作戦だった。 国立一の機動兵器隊にかなうような組織や高校なんてそうそうない。あってもそういうところはもっと利口に立ち回る。だから高専の標的にはならない。 公にはされることはまずないがそれでも気分がいいわけがない。 先輩たちがあっという間に制圧するのを見て、こんなことはしたくないと思った。 でも軍なんだからしょうがないってわかってはいた。でもしたくなかった。他に方法もあるはずなのに。 だから逃げた。しなくてもすむ所に。 なので都立の高校に移った。 藤宮はかなりゆるんだ所だった。軍事訓練も授業も時雨にとってはかなり楽だった。 最初は何もないことに開放感を得ていたがしばらくするとやっぱり暇に思えてきた。 ま、それはそれでいいんだけどね、というのは負け惜しみかなと思う。 そう。藤宮は時雨がなにもしないでいるには退屈なところ、だったのだ。 授業は残り二十分。時間はまだまだある。
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