-初恋-

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
あれは今から約9年前のこと。 私は3年ぶりに、母と共に、彼女の故郷で小学4年生の夏休みを過ごそうとしていた。 母の実家に着くなり、玄関先で近所の同年代の子供達が、外国人だ、珍しい、と言わんばかりに、質問攻めをしてくる。 「Cat, in Japanese?」 「NEKO!」 「How old are you?」 「9!」 その子供達は、今まで出会ったことのない人種であった。、うるさい、しかし明るく楽しい。 日も落ち、子供達はお家へ帰る時間だ。 いやしかし、誰だこいつ。 この男の子はなぜだか、まだ私の隣にいる。 従姉妹が彼について詳しく紹介してくれた。彼は、同い年だそうだ。私より背が低い。彼は、母の家の隣に住んでいるらしい。 次の日も、またその次の日も、私は従姉妹やその友達、そしてあの男の子とたくさん遊んだ。 けんけんぱ、縄跳び、鬼ごっこ、小学生は元気だ。 ある日、あの男の子が私を外に呼び出した。 何かを手に握っている。赤い紐のようだ。 彼はそれを私に差し出した。 赤い紐や、花のビーズを使って作ったブレスレットだ。 手づくりらしい。 器用だな。私、絶対作れない、まずそう思った。 男の子は私の手首につけてくれた。 私はそれまで、こんなsweetな男の子には出会ったことがなかった。 そしてこの頃から、私たちは気づきだした。 好き、なのかも。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!