頼もしき先輩たち

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頼もしき先輩たち

「あー、私ってば混乱してる」 今日は弓道部の練習だ。 しかしゆかりの集中力は乱れまともに的に当てることが出来ない。 ここまで精神状況に左右されるとは。 弓道って難しいな。 ゆかりの集中力がここまで乱れているのには理由がある。 昨晩美鶴に見せられたあの映像。 謎の人物。 そして謎の人物がペルソナを使い、いとも簡単に死神を倒してしまったこと。 そのペルソナが倒した後の死神を喰らったということ。 あまりにもショッキングな映像であったためにゆかりの脳内は一晩の眠りだけでは回復できなかったようだ。 謎の人物は最後まで顔を見せずに立ち去った。 男なのか女なのかさえ判然としない。 でもあの強力なペルソナ能力。 ゆかりは『彼』のことを思い出していた。 もしかして『彼』なのか。 しかしどうも死神に対しての残虐行為は『彼』と結びつかない。 何か食い違っている。 美鶴もゆかりと同意見で『彼』と確定するにはまだ早いとのことだった。 でも、 それでも、 「思い出しちゃうよなぁ……」 今日は一度の的中もなしに弓道部の練習は終わった。 「よう。遅かったな」 ゆかりが寮の扉を開けるとそこには真田の姿があった。 「真田センパイ。……お久しぶりです」 「何だ?覇気がないじゃないか。美鶴から聞いたぞ。リーダーに任命されたんだってな。……そんなんでやっていけるのか?」 「だっ、大丈夫です!やれまふっ!……や、やれます!」 焦りすぎて噛んでしまった。 その後に言い直したのが恥ずかしさを一層高めてしまった。 その姿をみて真田は快活に笑い、 「どうした岳羽。キャラが変わってないか?」 とからかった。 ゆかりは顔を真っ赤にして叫ぶように質問する。 「なっ、なんで、真田センパイがここにっ、いるんですか!」 「いちゃ悪いか。今日は美鶴に呼ばれたんだ」 「美鶴センパイに?」 「そうだ。私が呼んだんだ」 ゆかりが真田から視線を外すと、たった今美鶴が階段から降りてきたところだった。 「私たちは今回はバックアップに回ることになるからな。色々と打ち合わせが必要なんだ。それとゆかりへの顔見せという意味もある」 「顔見せって……。私先輩たちを知ってますよ」 「私や明彦に関しては再確認くらいでいい。ただ今回は一人だけゆかりの知らない人物がいるんだ」 真田がラウンジの奥に向かって手招きをする。
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