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「それについては私が説明しよう」
扉が大きく開け放たれそこを通って寮に入ってきたのは、
「み、美鶴センパイっ!?」
月光館学園卒業生にして前生徒会長、現桐条グループ次期総帥と言われている『桐条美鶴』だった。
「久し振りだな、ゆかり。それにみんなも。元気にしていたか?」
美鶴はそれがさも当たり前であるかのようにラウンジの空いているソファに腰掛けた。
その行動だけで場の空気が引き締まったのは流石桐条グループを纏め上げるだけの存在といったところだろう。
「ああ、キミもここに座るといい」
美鶴はそう言って謎の少女を自分の横に座らせる。
「さて。みんな驚かせてすまなかったな。この子は少し混乱しているんだ。大目に見てやってくれないか?」
「いやー、それは別に問題無いッスけど、その子誰なんスか?桐条センパイ」
順平が声を上げる。
さっきまで寝てたのに本当に調子の良い奴。
美鶴は少女の肩を抱き寄せるようにして話し始めた。
「初めに言っておく。この子はペルソナ使いだ」
「ペ」
「ル」
「ソ」
「ナ」
「使いぃ!?」
「ワンッ!!」
無駄に連携のとれた五人とプラス一匹のコンビネーションだった。
美鶴は規格外のリアクションにも動じず話を続ける。
「そうペルソナ使いだ。しかもかなり上等のな。覚醒したのはごく最近だそうだ。学園で保護された」
少女はやっと落ち着いたようでぽつぽつと話し始める。
「……アタシは『鈴屋エルザ』って言いまス。……四月から月光館学園の一年生でス。……誰かの呼ぶ声がしテ気付いたら学校の中にいましタ。……そこで黒いモヤモヤに襲われそうになっていたトコロを美鶴サンに助けてもらったんでス」
「黒いモヤモヤ……おいおい!それってまさか……!?」
美鶴は苦虫を噛み潰したかのような顔ではっきりと言った。
「シャドウだ」
動揺が広がる。
ゆかりは短い間の平和な日常が壊れた音を聞いたような気がした。
「そんなっ!?ニュクスは確かに倒した筈なのに」
風花が言う。
「どうにかして生き残っていたらしい。しぶとい奴らだ」
「あっ!でも影時間は無いッスよね!?影時間が無くてもシャドウって出てくるんスか!?」
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