闖入者、それは少女。

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美鶴はやれやれといった様子で額に手を当てた。 その表情が重く深刻に感じられたのはゆかりだけではないだろう。 いつもは明るくお調子者の順平もこの時ばかりはばつが悪そうに黙っていた。 そんな様子に気付いてか美鶴は額に当てていた手を戻し佇まいを直す。 しかし相変わらず表情は厳しい。 「月光館学園地下施設というのは簡単に言えばシャドウ研究施設の跡地だ。私の祖父が行っていたシャドウ研究の名残が未だ学園に残っていたのだ。そこには範囲限定の影時間空間が発生しているものと思われる。恐らくシャドウはそこを住処とし、増え続けているのだろう」 「発生原因の特定は?」 アイギスの質問に美鶴はただ首を振る。 「まだだ。調査をするのに人員が足りない。シャドウに対抗できるのはペルソナ使いだけなんだ。知っているだろう?」 「じゃあ、調査は……」 「そう。それが今日ここにきた理由だ。みんな聞いてくれ。……恥を承知で頼みたい。キミ達の力を今一度私に貸してくれないか?」 美鶴がいきなりテーブルに頭をぶつけんばかりに振り下ろしたのを見て、五人は焦った。 美鶴は頭を下げた姿勢のままぴくりとも動こうとしない。 ゆかりは驚いていた。 今まで頭を下げている美鶴センパイなんてみたことない。 美鶴は下を向いたまま言う。 「これは私のミスだ。事後処理を怠ったのが原因だ。……くそっ!もっと早くに気付いていればっ!」
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