闖入者、それは少女。

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「そうですよ。今更選択肢なんてありません。僕はまた頼ってもらえたことを誇りに思うくらいですよ」 「ワンッ!」 「コロマルさんも同じ気持ちだそうです」 仲間の絆は消えないものだ。 シャドウとの戦い。 ストレガとの諍い。 仲間との行き違い。 全てを乗り越えて今の強くなった自分達があるのだ。 ゆかりは自分の仲間達のことを愛しくも頼もしく感じた。 「うん!そうですよっ、美鶴センパイっ!今更私達に遠慮する必要は無いですって!シャドウなんてぱぱっとやっつけちゃいましょ!」 ゆかりの言葉を合図にしたかのように美鶴から暗い雰囲気が抜け笑顔になる。 まるで憑き物が落ちたように優しげな微笑だった。 「……ふふっ、エクセレント!」 美鶴の良く通る声にエルザはびくっとして縮こまる。 「おっと、すまない」 美鶴はいつものように胸の前で軽く腕を組み、 「みんな、ありがとう」 と言った。 その目に光るものを見たのは気のせいだろうか? ゆかりは深く考えないことにした。 美鶴センパイだって人間だもんね。感動すれば泣いちゃうでしょ? 「いいナァ……」 ぽそりとエルザがそう呟いたのを美鶴は聞き逃さなかったようだ。 「どうしたエルザ?」 そう問いかける美鶴の目には強い光が宿っている。 やっぱり泣いたように見えたのは気のせいだったかな? エルザは美鶴の問いかけにもじもじしながら答える。 「あ、あノ。……素敵ナ、お友達、だなっテ」 「ああ、私の大切な仲間だからな」 「今まデ……あまり、仲のいい友達とカ、いなかっタので、羨ましいデス……」 「羨ましがるだけじゃない。キミもすぐに仲良くなれるさ」
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