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高等部から入学した二人にとって、しかもまだ入学して一ヶ月も経たないような状況では、驚かない事などない。
「次のニュースです…」
桜良はテレビの声を耳にし、そちらに目を向けた。
女性のキャスターが、顔を少ししかめて原稿を読み始める。
「N県浅春市一帯で雪が降っています。N県は関東地方の北に位置しているものの、桜も散り始めており、この急激な気温変化は異常だと専門家も…―――」
「はぁ? 雪?」
里咲が驚きの声を上げる。
「本当。雪が降ってる」
桜良が自分のベッドに上がりカーテンを引く。
季節は四月の終わり。
舞うものは桜の花びらが相応しいはずだ。
しかし、今外を舞っているものは淡いピンクだけでなく、純白のものが混じっていた。
「うわぁ、なんか微妙に積もってるし、寒いし!」
里咲が桜良の隣から覗き込む。
桜良達の部屋は、寮から学校へと続く桜並木がよく見えた。
その通りがうっすらとピンクに、また白く染まっている。
「なにこれ…。天気雨じゃなくて、天気雪?」
里咲の言うとおり。異常なのはそれだけではなかった。
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