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雪が降る時というのは灰色の曇り空が常だが、今の空は青色の“良い天気”だ。
「……」
「桜良、見てきたら?」
何も言わず、ただその光景を眺めていた桜良は、里咲の言葉に軽く目を見張った。
「え?」
突然何を言のかと、桜良は戸惑いの表情で里咲見る。
「見に行きたいでしょ? きっと近くで見たら凄く綺麗だよ」
里咲は考えいることなどお見通しだと笑う。
「でも、朝食作ろうって…」
桜良は窓と里咲を交互に見て言葉を濁す。
確かに見たい。
雪の白と桜のピンクが交わる景色の中に行ってみたい。
今なら人もいないだろうし、心置きなく陶酔もできる。
しかし、朝食作りを里咲一人に押し付けるのも気が引ける。
二人は人並み程度に料理が出来るため、食堂はあまり使わない。
そのため昨日米を炊いてしまったのが悔やまれた。
まさか今日の事態を予想できるはずもないので、しょうがないのだが。
「里咲、いいの?」
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