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桜良の耳が、なにやら声を聞き取ったのだ。
―――ゆーきやこんこー あられやこんこー…♪
「歌?」
明らかに歌だ。
歌詞からすると童謡『ゆき』
すぐ近くから聞こえてきている。
女の声にしては低く、男の声にしては高いような、中間の歌声。
だが、周りを見渡しても誰もいない。
―――ふってはふっては ずんずんつもるー
―――やーまものはらも わたぼーしかぶりー…
「?」
歌詞の冒頭が『ゆき』だったのだが、その後に続く歌詞は桜良の知らないものだった。
不思議に思いながらも、桜良は桜の木に近づいていった。
そして―――。
桜の木から約五メートルとなった時。
―――かーれきのこらず はながさくー…♪
歌が止み、
「うわぁっ?!」
代わりに短い叫び声。
同時に桜の木が大きく揺れ、バキャッという異様な音。
に続いて人が落ちてきた。
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