1st Story

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桜良の耳が、なにやら声を聞き取ったのだ。 ―――ゆーきやこんこー あられやこんこー…♪ 「歌?」 明らかに歌だ。 歌詞からすると童謡『ゆき』 すぐ近くから聞こえてきている。 女の声にしては低く、男の声にしては高いような、中間の歌声。 だが、周りを見渡しても誰もいない。 ―――ふってはふっては ずんずんつもるー ―――やーまものはらも わたぼーしかぶりー… 「?」 歌詞の冒頭が『ゆき』だったのだが、その後に続く歌詞は桜良の知らないものだった。 不思議に思いながらも、桜良は桜の木に近づいていった。 そして―――。 桜の木から約五メートルとなった時。 ―――かーれきのこらず はながさくー…♪ 歌が止み、 「うわぁっ?!」 代わりに短い叫び声。 同時に桜の木が大きく揺れ、バキャッという異様な音。 に続いて人が落ちてきた。 .
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