7人が本棚に入れています
本棚に追加
「っ?!」
桜良は何が起こったのか理解できず、ただ立ちすくむだけだ。
「あたた…足いったぁ~」
落ちてきたのはなんと、少年だった。
空中で体勢を立て直し、足で着地をしたが、その足を痛めたらしい。
しゃがみ込んで呻いている。
あちこち跳ねた髪はダークグレイ。白のパーカーに黒のカーゴパンツを着ている。
俯いて顔ははっきりとしないが、桜良よりも年下に思えた。
中等部の生徒だろうか。
「あ~。枝が折れちゃった。うぅ、カエちゃんにばれたら…」
気配を感じたのか、少年はそこまで呟いて、桜良に気付いたらしい。
「ええぇっ?!」
ガスッ!
桜良と目が合うと、飛ぶように立ち上がり、バランスを崩して頭を桜の木にぶつけて再び呻く。
「……大丈夫?」
気が小さいのか、驚き方が大袈裟だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!