1st Story

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     ※ ※ ※ 少年は桜良が去って行くのを呆然と見つめていた。 「日本人形みたいで綺麗な女の子だなぁ」 と口にして、ハッと首を横に振る。 「…僕はなに言ってるんだ! 違う~! 違うよ!」 「何が違うんだよ? セツ」 一人で騒ぐ少年の背後からいきなり声がかかった。 しかし、桜良の時とは違い、少年は驚くことなく後ろを向く。 聞き慣れた声だからだ。 「ヒノ!」 ヒノと呼ばれたのは端整な顔立ちの青年で、赤茶の髪は少し長め。 上下とも薄い水色のジャージを軽く着崩している。 少年とは違い、背もすらりと高い。 どうやら桜良が見た人影はこの青年だったようだ。 「おい、あれは確か…」 青年は少年からすぐに目をそらし、小さくなっていく桜良の後ろ姿を指す。 その瞬間。 .
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