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「そんなに気になるの?」
天海学園高等部。
授業は三時間目が終わり、昼休み。
食堂に向かう者が多い中、桜良と里咲は机をあわせて弁当を広げていた。
「気になるというか…」
桜良はなぜか、あの少年のことが頭から離れず、授業が頭に入らなかった。
しかもこんな時に限り、三時間全てで指名され、まったく答えられなかったのだった。
「不思議な感じの子だったの」
桜良はあの後、部屋に戻り、朝食だけでなく弁当まで完成させていた里咲に、出会った少年の事を話していた。
雪は一時間目が始まる前にすでに止み、今は本当の春らしく、桜の花びらが落ちているだけだ。
「桜良と同じで、あの現象を見に行ってただけじゃない?」
「そうかもしれないけど」
「なんか、珍しいね。桜良が人に関心持つなんて」
里咲の言うとおり。
自分から、あれだけ他人に話し掛けることは、久しぶりだった。
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