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「起こしちゃった? ごめんね、里咲」
「…別にいいよ」
里咲は怒るに怒れない。
昨日最後にテレビを見ていたのは自分だ。
外に洩れないようにイヤホンを使っていた。
「まだ寝てて」
「ううん。もう起きるよ。今何時?」
まだ眠そうに目をこすりながら、里咲がベッドから下りる。
「だって、まだ六時前よ」
言いながら、桜良はテレビの画面を指す。
「えっ! マジ?」
「…フフ」
桜良は、テレビの左上に表示されている時計を見て固まった友人を見て、微かに笑う。
馬鹿にしたわけではない。里咲はいつも面白く元気だと思ったからだ。
「五時四十五分。ね」
顔を覗き込みながら桜良が言と、里咲は大きくため息を吐いた。
「七時頃だと思ったのに…早すぎ!」
「なんか、目が覚めちゃって…」
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