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「・・・ごめんね。本当はこんな所に君を閉じ込めてなんておきたくないんだ。でも、こうしておかないと・・・」
秦の言葉の語尾が聞き取れず、私は思わず彼の傍に近寄った。
「ありがとう。リリがこんなに近くに来てくれることなんてあまりないから、なんだか嬉しいよ」
「ち、違うわ。何言ってるのか聞こえなかったから、近づいただけよっ」
多分真っ赤になっているだろう私の顔を見て、秦は優しく笑ってくれた。
このドキドキが何なのか。
私は多分わかっている。
わかっているけれど、それはきっと伝えてはいけない気持ち。
それを伝えてしまえば、彼を困らせることになる。
わかってる。
わかってるよ。
でもね、そう思えば思うほど、雨の音が私の心を突いてきて、痛くて秦を見ていられなくなる。
だから私、雨の音は嫌い・・・。
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