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―――シングスside
「…………」
みんなが私を讃える。
『凄い』
『流石』
『カッコイイ』
『天才』
全部、ヘドが出る程うざかった。
中でも1番うざかったのは、
『所詮落ちこぼれ』
『やっぱりクズ』
『見てられない試合』
あいつを愚弄する言葉だった。
居心地が悪くなった私はトイレに行く振りをして学園の敷地にある林の中に入って行った。
「……クソッ!!!」
木を叩く。
血が出たが気にならない。
「あいつが落ちこぼれ?ふざけるな……!!」
そんな訳はない。
それはあの試合が何よりの証拠だった。
あの試合、私は負ける訳にはいかなかった。剣族が落ちこぼれなんかには絶対負ける訳にはいかない。
野次だって止めることは出来た。しかし少しでもあいつの邪魔になればいいと思いあえて止めなかった。
試合も少しでも勝つためにとフライング気味に攻撃を仕掛けた。禁止された魔法もわからない程度に使い速度を上げあいつに突っ込んだ。
だけど………
あいつはそれを止めた。
驚きはしたが攻撃は止めなかった。何度も切った。しかし、あいつは剣を犠牲にして全部止めやがった。
十撃目、ガルス先生の開始の合図が終わり俺があいつに刀を突き刺そうとした時、あいつは初めて攻撃してきた。
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