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六月の花嫁
僕のしあわせは
君がしあわせでいること。
そう言ったら君は
少し困ったように笑った。
君が告白されたと聞いて
君を好きな僕が言った
最後の強がり。
君はあいつと
しあわせになるといい。
僕は君を引き留める術
なんて持たないんだから。
昨日届いた結婚式の
招待状に書かれた名前に
あのとき僕が引き留めれば、
なんて。
それと
あのとき君に言ったあれ、
少し訂正したいんだ、なんて
遅すぎるよなって苦笑する。
招待状の文字をなぞって
ぽそり、呟く。
「僕のしあわせは
君が僕の隣で
しあわせでいること。」
呟きは梅雨の空に、消えた
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