出張

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 後方に演説を聞き、そんなことを考えながら歩いているうちに店に着いた。  その日の『待ち角』は、二十時を回ったばかりで時間が早いせいか、先客は一人しか居なかった。  その初老の先客をカウンター席でママさんが相手をしていた。常連客なのだろう。 「いらっしゃい。あら、また来てくれたのね。出張なの?」 「ええ、しばらくは僕が担当ですから」  隆の職務はプラントで使用する機材の営業だった。 「そう、ゆっくりしてってね」
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