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何年か前の冬ですが、
裕子さんはあるアパートの2階に引っ越しました。
で、彼女は、引っ越して間もないある日、
友人と久し振りに飲みました。
久し振りだった事もあり、かなり酔った状態で家に帰りました。
家に着くとすぐに、コタツに入りました。
酔っていたのと、コタツでポカポカしてきたのもあり、
すぐにウトウトしてきました。
もうほとんど眠りかけの中で、ふと窓の方を見ると、
窓の外に男性のような人影が、ごく普通に立っているように、
こっちを見てます。
しかし、彼女は酔っているせいか、さして気にせずに
そのまま眠りについてしまいました。
ここが2階で、その窓の外には人が立てる余地が無いという事は、
その時には思い至りませんでした。
2時間くらい眠ったでしょうか。
酔った後には喉が渇きます。
裕子さんも喉の渇きから、窓の方に目を向けた状態で、
目覚めました。
夜明けが近いらしく、窓の外は白み始めています。
体を起こそうと、正面を向いた瞬間、
「あっ!!」
コタツの上に、男が座ってます。
こちらを睨んでいるような、
にやけているようなはっきりしない表情です。
そして何故か、生きている人間には到底思えない感じがしました。
そういえば、さっき寝入る時に窓の外に見えた男です!
彼女はパニックに陥り、とっさにコタツの布団をかぶってしまいました。
がたがたと震えが来て、コタツから逃げ出すタイミングを失ってしまいました。
すると、布団の中の彼女の顔が上からぐぐぐっと圧迫されてきました。
ふぅーふぅーっと、
生暖かい気持ちの悪い息が布団の上から伝わってきました。
どうやらコタツの上の男が、その顔を押し付けているようです!
彼女の恐怖は極限に達しました。
「南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・
お願いです・・・許してください・・・っ!」
自然と念仏を唱えていました。
しかし圧迫は収まりません。
それどころか、ふぅーふぅーっと不気味な呼吸が
より早くなりました。
「お願いっ・・・助けて・・・
南無阿弥陀仏・・・南無阿弥陀仏・・・っ!」
必死に念仏を唱えました。
すると・・・
「そんな念仏唱えたって、意味無いぞ・・・」
低く唸るような声が、彼女の耳に突き刺さりました。
そのまま気を失い、気付いた時には昼でした。
部屋は何事もありませんでしたが、
彼女はすぐに引っ越したそうです。
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