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「それにしても、アナに全然似てないなぁ‥‥めちゃめちゃ可愛いじゃん♪」
すると、予想に反して愛奈が相づちをうってきた。
「アタシも似てないって思うのよ‥‥どうも旦那の遺伝子が強すぎるみたい‥」
「ふ~~ん‥‥だからか‥‥似てるなぁ‥」
「でしょ、最近‥特に感じてきちゃって‥
‥てゆうか、アンタの子も、まるっきり似てないじゃないのよ!」
「アナんとこと逆だよ‥‥うちは嫁の遺伝子を濃く受け継いだみたいだな‥」
「それにしても、八雲が婿養子に入るとはねぇ‥‥
勤めてる会社の社長の親戚なんでしょ?」
「ああ、社長の姪だよ」
「それで、その若さで東京支社の支社長様なわけね‥‥」
と、嫌味ったらしく言う愛奈に、
「ばっか、実力だよ!」
と、言い返す俺。
「なにが、実力よ‥‥一歩間違えれば、あん時犯罪者になってたくせに!」
愛奈にそう言われて、俺はあの12年前のことを思い出した。
そう、俺の大好きだった慶介さん。
その慶介さんの死を目の当たりにして、俺はあの時、頭の中がどうにかなっていた。
『北本 誠』‥‥この名前だけは一生忘れることはないだろう。
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