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テレビを見た俺は、驚愕の事実を知った。
犯人は『北本 誠』‥‥優衣の従兄だったのだ。
…なんで、従兄が?…
と、俺は思ったが、そんなことはすぐにどうでもよくなっていた。
ただその時、俺の頭の中に浮かんだ感情は‥‥、
『許せない!』
『償わせてやる!』
この2つの、強い想いだった。
俺は、それからの行動のことに記憶があやふやだった。
気付くと、タオルを巻いた包丁を握り締めて○○警察署の前にいたのだった。
なぜ俺が○○警察署に行ったかというと、犯人が連行されていたからだった。
『許さない!』‥『俺が償わす!』‥、ただそのことだけが、その時の俺の頭の中を占めていた。
俺はその場所で何日待っていたか、今でも想い出せない。
あとで、弁護士が教えてくれたが、二日間待っていたらしい。
そして、三日目……。
犯人が拘置所だか、検察署に護送されるために出てきた。
報道陣が大勢待つ中、俺は目的の男が出てくるのを片手に包丁を握りしてめて、じっと見ていた。
両脇を警察官に挟まれた男に、ゆっくりと近づいていく俺。
男が、護送車にあと少しまで迫った時、俺は動いたのだった。
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