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キッズスペースの中で、愛奈の娘は花嫁姿が載っている絵本を見ていた。
「この花嫁さん‥綺麗♪‥‥とっても可愛い‥」
女の子は絵本を見て花嫁の美しさに感動している。
「ねぇ、お兄ちゃん‥‥綺麗よね‥」
女の子は、恥ずかしそうに絵本を見せながら、男の子に話し掛けた。
すると、
「僕の名前は、お兄ちゃんじゃないよ‥」
と、いった。
「じゃ、なんて言うの?」
すぐに、女の子が聞いてくる。
すると、男の子は…
「僕は‥‥西島 慶介って‥いうんだ♪
君は?‥‥なんて言うの?」……と、言った。
そんな慶介の問い掛けに、女の子は…
「‥優衣‥‥海原 優衣ってゆうの♪」
と、答えた。
「その本の花嫁さんは、ホントに綺麗だね♪」
慶介が、優衣に優しくさっきの答えを言ってあげる。
「でしょ♪‥‥優衣もおっきくなったら、こんな綺麗な花嫁さんになるの♪」
と、瞳をキラキラさせながら慶介を見つめながら言った。
そんな優衣を見つめ返していた慶介に、不意に不思議な感情が湧き上がってきた。
言葉に出来ない位、暖かい感情。
自然に目頭が熱くなってくる。
慶介は自分でも気付かぬうちに、いつの間にか大きな涙をこぼしていた。
一粒、また一粒と……。
そんな慶介を見て、
「どうしたの?慶介おにいちゃん‥‥」
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