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「くぉらー、やる気ないんやったら帰れー!!」
コーチの怒号がとぶ。
プール室内は塩素の匂いと、こもった熱気で満たされている。
外はせみのうるさい声。
プールの横にあるガラス張りになっているギャラリーには
汗くさい保護者の人たちや兄弟たちが時折大きな笑い声をあげながら座っている。
「くぉらぁーーー、このタイムきられへんかったらあと10本追加するぞー!!イクゾー、ヨーイ、ハイッ!」
――――
「あー、もう言葉にもならへんわ。」
「翼、体力ないんじゃないの?(笑)」
「うるせぇよ。普通に考えて小5に1日7キロも泳がすか?常識を考えろっつうの!」
「でも常識で泳いでたら全国では通用しないんでしょ」
「……」
「さあ、そんなところで寝ない!さっさとかえろう?」
「いや」
「はぁ、イヤッてなによ。じゃあ一生そこにいれば!私帰るからね!」
「えっ、うそやって、うそ。おーい」
「はやくしないとおいてくよ~」
―ガンバレ、翼。私応援してるからね。
今年も夏が始まる
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