鞠つき

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梅雨がやってきた。 雨の音がこもる体育館の中で、バッシュの擦れる音やボールが弾む音を奏でながら、活気ある光景があった。 「ハル!」 チームメイトからのパスを受けたハルは、小さな体を活かして次々と敵の間をすり抜けて行く。 ――ダムダムダム…ッシュ 勢いよくリングにシュートを決めた。 …―――― 「お疲れ様、格好良かったよ!」 なっちゃんが練習を終えたハルに駆け寄って来た。 ハルは身長が小さいけど、小学生から高校までずっとバスケットをやっている。 そこらの遊びでやっている男子を簡単に負かせられる実力は十分なものだ。 「見学来てたんだね。」 なっちゃんはバスケ部の部員ではないし、そういえば最近よく見学に来る。ハルにとってはすごく嬉しいことなのだけれど…なぜだろう。 ハルの疑問に答えるかのようになっちゃんは、 「うん、一緒に帰れるしさ!…それに」 「…それに?」 途中まで言いかけたが、ハルの頭の上に視線を止めると、口を開けたまま止まってしまった。 「おぅハル!さすがは俺の後輩やな」
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