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泣いているのは分かってた。でも俺は彼女の顔なんて見てすら居なかった
涙を溜めながら我慢している彼女は必死に俺に言葉を投げ掛けてきたけど、俺はずっと顔を俯けていたんだ……
――――
「絶対待ってるから……」
「行かないよ?」
「……それでも待ってる」
「……そうか、勝手にしろ」
俺はまた彼女に対して冷たくキツイ言葉を放った
心のなかじゃ抑制する自分がいるのに。彼女だってきっと感情が高ぶっちゃったから言っただけなんだって
分かっていたのに……
俺の方が年上。社会人なのに……
彼女は目から大粒の涙をぼろぼろ零しながら啜り泣き、一言言葉を置いて行った
「約束って……なんなんだろうね」
顔は見れなかった
でも、きっと悲しい顔をしてたんだ
そのあと店の扉が開いて閉まる音がした
俺はその空間の中でただ一人ため息を深くついた
「……」
わがまま過ぎるだろ。自己中だ、と思う自分と本当に可哀相な事をした……彼女はイブを楽しみにしていたんだった。と思う自分の気持ちが混ざり合ってもう頭を悩ませるのが面倒になり、俺はテーブルに額をぶつけた
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