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まず、絶対来ない
冬夜くんは絶対に此処には来ない
そんな事は分かってた
あたしは馬鹿だ。来ないのに待ってるんだから
終電の電車が行ってしまったのに電車を待ってるのと同じ
でも、なんか待ってる
黒群青色に広がる雲の無い雪も降ってない空を見上げながら麻衣が言っていた言葉を思い浮かべていた
待たなきゃ来ない。待っても来ないかもしれない……でも、待たなきゃ絶対に来ない。待ってたら、会える可能性少しはあるかもしれない
それを思うだけでも救われた。重い女とか、めんどくさい女とか思われるかもしれないけど
別にいいの……
あたしが待っていたいだけだから
勝手に待ってるだけだから。来なくても……良いんだ
そう思ってる
でも、心の裏では絶対来て欲しい。約束通りあたしに会いに来て!と強く願ってるあたしがいつも居た
心の中で嘘とホントがごちゃまぜになってて、頭が痛くなった。あたしはただ貴方が来る姿をイメージして目をつむった
それから大分時間が経って、このまま寝たら死んじゃうかもと思った矢先、あたしの前で誰かの足が止まった
目の前の人の影が座り込んでいるあたしの体全体を覆いこんだ。少し目を開けると、その人が口を開いた
「待った?」
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