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この夏、俺は貴重な体験をした
それは決して忘れる事の出来ない非現実的なことだ
きっとこんな事もう無いだろう、いや…無いほうがいい
そう思うとやっぱり普通が一番だ
でも、その体験が自分自身を成長させる事が出来たのかもしれない
つまり、俺は未知との遭遇を果たした…とでも言うのか…そう、信じてもいなかった幽霊というものと出会ったのだ
―――
《キャッー!!》
《御覧いただけただろうか?昼間の樹海、画面左越しに一瞬だけ映る笑う幼い少年の顔を。今回この映像を投稿してきたカメラ撮影をしていたのAさんは「笑ってる子供の顔が宙に浮いて映っていたので呪われるかと思い、直ぐにカメラを閉じた。」と語る》
《怖っわ!マジで映ってましたよね、今!》
《怖~い…もぅ嫌ぁ》
《では今回この番組にお越しいただいた霊媒師の三谷先生お願いします》
《そうですね、これは間違いなく悪霊です、過去にこの樹海で母親に捨てられたんです。
私には分かる…この子は酷く怒っています
自分の母親を含んだ大人という存在に怒りを覚えたんです…
それがこの子を…こんな風に…
Aさんの撮っている映像に映るBさんは、この二日後に事故で両足を骨折。
それはこの霊が母親に捨てられて二日後に死んでしまったこと、母親を捜し歩いた結果両足が動かなくなってしまったからです。
「なんでお前は歩けるんだ。ずるい、壊してやる」
と言っています…あぁ…可哀相に…》
「…いや、うさん臭いにも程があるでしょ」
テレビ番組で視聴者に涙を見せつける霊媒師を冷めた目でつい言葉をかける
俺は幽霊なんて非科学的なものは信じない
いる訳がない。
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