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四十五条家の一つである、九条家は公表されているだけで五つの屋敷を持っている。
その内の一つ、草津屋敷と俗称されるここが今現在の私の住まいだったりする。
住まいと言っても、全体が私の住処で無いのは当然で、私は隅の離れに一室を頂いていたりする。
通いの使用人が殆どな中、破格の待遇と言える。
きゃんせい。
エセえんぐりっせで言ってみたところで本質は同じだが。
その一室は、言うなれば我が儘の産物だ。
勿論のこと、私の我が儘ではない。
四十五条家に我が儘を言えるような器も肝も持ち合わせていない。
なら誰の我が儘かと問われれば、それは皆さんご想像の通り、九条錠子の我が儘だ。
曰く、
『たかは私の傍にいるのは当たり前で、当然で、必然だから』
お安くないお言葉である。
同年女子とそのような関係に至ったつもりは毛頭無いので恋愛感情ではない。
幼い頃から持ち続けているぬいぐるみのようなものだ。
依存、とも言う。
錠子は私を知ってしまったから。
唯一、個がある私と出会ってしまったから。
錠子の過保護な兄上が私に、
『君は錠子に近付けるべきではなかった』
と後悔するくらいには、ダメダメな関係であるらしい。
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