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九条錠子。
それが、彼女の名前。
年は十六。私と同じ。
容姿端麗。IQは測定不能。超能力者。
四十五条家の一つ、九条家のお嬢様。
非の打ち所の無い、少女。
ただし、致命的なまでの欠陥がある。
その欠陥が、私がここにいる理由の一端を担っていたりする。
九条錠子は、私以外の他人を識別できない。
兄だろうと、姉だろうと、この屋敷に大勢いる使用人だろうと、自分を殺しにきた人間だろうと、皆同じように見える、らしい。
否、同じように、ではない。
同じに、だ。
人間の区別が無いと言えば分け隔てなく接すると言う事のように思えるだろうが、それは実際その人間の「個」を殺す行為だ。
名前も、顔も、地位も、身分も、出身も、何もかもを否定しつくす。
悪魔のような欠陥だ。
周りの人間に対しても、彼女自身にしても。
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