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両親はいるにはいるが、身寄りは無いという私の素性を話すのは中々に難しい。
ただ、端的に言うなれば。
優先するものが、違ったということ。
皮肉にも、
苦肉にも。
勘当なんて、時代錯誤な真似をされた訳で。
両親に、特別な感情は無くて、そのままそれを甘受して、享受してしまっただけの話。
本当に、笑ってしまうくらい簡単で複雑な話。
だから、私は自分の話を振られると錠子の話をする事にしている。
私以外の他人を判別できない、彼女。
錠子の生まれを説明するのは簡単だ。
赤子の手を捻る―否、ドアのノブを捻る程度には。
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