1人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよ。さや」
「あ、サクラ。」
「慶大から連絡あった?」
さやが静かに首を振る
「やっぱり…」
昨日は慶大ママに伝えたもちろん動揺してたし、慶大を心配してた。
でも、私達を責める事はしなかった。
「もう少し強く止めてれば…」
さやがボソッとつぶやいた
それは、わたしも同じ気持ち
きっと、キヨシだって…
ふと、キヨシをみると心なしか寂しそうにみえる
「きっと、見つかるよ。ほら、よくあるじゃん遭難して野宿して、見つかるパターン」
明るく私がいうとそうだね、
と寂しく笑った。
―お願い、見つかって…帰ってきてよ…。慶大。
しかし、願いもむなしく慶大が見つからないまま夏がおわり、秋が過ぎ、冬を越え、春を迎えた。
私達は中学校に入学した本当はうれしいはずなのに…
「慶大の学ラン、見たかったね」
「ん…。」
どんなに季節が過ぎても慶大を忘れない。忘れられない。
でも、認めなくちゃ、
慶大は…いない。
最初のコメントを投稿しよう!