年下の彼

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本当は興味があった。 昨日の朝、エレベーターに乗ったとき、松本君と二人っきりになった。 「おはようございます。」 ちょっと伏せ目がちに言うと、背の高い彼の胸元に視線が行った。 ポケットに赤い歯ブラシが見えた。 「おはようございます。」 彼は私に頭を深々と下げ、胸ポケットから歯ブラシを落っことした。 「朝から歯ブラシ持ってどうしたんですか?」 拾ってやると、 「ありがとうございます。泊まりました。彼女と。」 と寝癖のついた頭に手をやって照れたように笑った。 「彼女と?!」 「ハイ。会社に。」 「エッ?!?」 目を丸くすると、彼は赤い歯ブラシを見せて、 「彼女、恥ずかしくって 赤くなっちゃったみたいです。」 白い歯を見せて笑った。
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