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「天気い~なぁ~、寝みぃな~。たりぃ~な~」
現国資料室の窓際。
椅子に座り机に足を乗せ、踏ん反り返った格好で外をぼんやり眺める教師がひとり。
緩めのネクタイ、よれた白衣、特徴的な銀色の天然パーマ。
ずり落ちそうな眼鏡の奥のやる気の無い眼は、この時季には珍しい真っ青な空とぷかりと浮かぶ雲を見ていた。
「雲…くも…やべ、綿あめ食いたくなってきた」
そんな言葉をポツリと呟いた時だった。
コンコンコン……
「入ってまぁ~……」
「って便所かよ!」
すかさずツッコミを入れながら一人の男子生徒が入ってきた。
段ボールを抱えているため、ドアは足で開けられる。
「なんですか~土方くん。お行儀悪いぞ~。先生は今、とても忙しい……」
「わけねぇだろ!」
土方は、はぁ、と溜め息をつき奥に進むと銀八の机の上に段ボールを降ろす。
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