12人が本棚に入れています
本棚に追加
カンカンカン…
しばらくして階段を昇る足音が聞こえる。
「ごめんください」
足音が聞こえてソワソワしていたのに、わざとらしくのそのそと出て行き、待ち人を迎える。
「ったく、おせーんだよ」
「なっ!…支度も出来ぬうちに催促の電話などよこすからだろう。それになんだ、その言いようは。遅くなどないではないか。おかげで……」
「あ~うるせぇよ、ま、いいや、早く入れ」
「あ、おじゃましま~す」
銀時は桂がソファーに座るや否や、冷蔵庫からケーキの箱を取り出し、テーブルに置く。
「ん?なんだ?これ、もしかしてお前……」
「かかか勘違いすんなよ?俺が食べたいから作っただけだからね!違うからね!」
「そ、そうか……」
銀時から否定の言葉が出ても、現に今日はバレンタイン。好きな人に甘味を贈るイベント。ここは恋人の家。
そしてこの箱は明らかにケーキ。
桂は我慢しきれない程に顔が緩むのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!