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<第一章No.2>
午後12時40分。昼休み。
同じクラスの橘 真琴(たちばな まこと)と 学食を食べに 食堂へ来た知也は 焼き魚定食を食べながら たわいない会話をしていた。
「なぁなぁ 知君。
一年D組の 河瀬 京子ちゃん めっちゃ可愛いと思わねぇ?」
にやけた顔で そう言った真琴に 牛乳を一口飲み 知也は こう言った。
「マコは あんな娘(こ)が好みなん?
…まっ 確かに
顔は可愛いけど
性格キツいじゃん。」
「そりゃあ まぁ そうだけど。
でもさぁ
胸もボォ~ンと大きくて
ナイスバディだろ。
ん~っ…たまんねぇよ。」
身震いする真琴に 知也は はいはいと呆れたように 息をつく。
それを見て 真琴は 顔を近付ける。
「なぁなぁ
知君は どんな娘(こ)が
好みなん?」
真琴に問われ 箸を止めると 知也は考える。
「ん~っ…そうだなぁ。
俺は…。」
知也がそう呟いた時 隣の席に 秋良がやって来た。
「ここ…いいか?」
そう訪ねた秋良に 一瞬 言葉を失ったが すぐに愛想笑いを浮かべる真琴。
「どうぞ どうぞ。」
秋良は きつねうどんを乗せたトレイをテーブルの上に置き 知也の隣に座った。
知也は 秋良をチラリと見ると ポツリと呟く。
「この人。」
知也の言葉に 真琴は目を丸くして見つめる。
秋良は 訳が分からず 眉を上げ 知也を見る。
知也は パクリと御飯を口に入れ 平然と言う。
「俺の好みの人。」
真琴は 手に持っていた 焼きそばパンをポロリと テーブルの上に落とし ポカンと口を開く。
秋良は ますます眉を寄せ きつく 知也を見つめる。
知也は 二人の顔を見て キョトンとした顔をする。
「何?
どうしたの?二人共?
俺 そんな変な事 言ったっけ?」
真琴は 両手で頭を抱え俯く。
秋良は プイッと顔を背け うどんをズルズルと音を立て食べる。
そんな二人を 知也はクスクスと笑う。
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