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1時間後、山積みになっていた美波の宿題が
――消えた
俺のはまだ1/3くらい残っていて、かなり頑張っても1時間以上は絶対かかるだろう。美波も終わったことだし由紀に頼むか……
「由紀、俺にもお」
「や」
一言、いや一文字で断られた
続けて
「祐也、私たち一回家に帰るね」
と言って二人は足場に帰って行った……。
さっきまで聞こえていた声が消え、部屋には虚しく扇風機の音だけが聞こえる
「続きするか」
一人寂しく続きをしようとして、ふと机に目をやるとそこには四つ折りにされたノートの切れ端が落ちていた
どうやら何か書いてあるみたいなので開いて読む
「……ははっ、頑張りますか」
そこには――
『がんばれ』
オレンジと黄緑の美波と由紀の字でそれだけ書いてあった
その後の俺はお祭りの時間までに終わらせるために本当に必死に頑張った
タイムリミットまで後5分、宿題の残りは後一つ。だが5分で終わるのは無理そうな量だ
でもお祭りのため、二人のために終わらせなきゃいけないんだー!!
そんなことを心の中で叫んで最後の宿題に手を着けようとした所で誰かの来訪を告げる、ピーンポーンという間の抜けた音が聞こえてきた
何でこんな時に限って誰かくるんだよ!
そんなことで唸っていると、また同じ音が聞こえた
イライラしつつも急いで玄関に向かう
「どちら様でしょうか!!」
思いっきり玄関を開けるとそこには怯えた様子の美波と由紀がいた
「あ、じゃ、邪魔しちゃってゴメンね」
「え、いや、えっと……もう終わったことだし!」
しまった……泣きそうな二人を見てつい嘘を言ってしまった
「本当?」
「ほ、本当だって!」
ジッと俺の目を見つめてくる由紀に引きつった笑顔をで答える
くそう!由紀の目は何か全部見透かしてそうで怖い
「…………」
「お、俺ちょっと準備してくる!」
俺は服を着替えて財布やらを持つと一度だけ深呼吸をしてから外に出た
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