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「お待たせ!」
外に出ると夏の太陽もだいぶ傾き少し涼しくなったように感じる
「祐ちゃん早く行こ!」
二人をみれば、満面の笑みで俺の手をとる美波にも横でコクコク頷いている由紀にもいつもの顔が戻っていた。
それにさっきは色々あって気づかなかったけど美波は黄色に花の模様の入った、由紀は黒にいろんな色の金魚の模様の入った浴衣を着ていた
「二人ともよく似合ってるぞ。浴衣!」
「ありがとー!」
「ありがと」
俺が浴衣を誉めると俺の手をとっていた美波は今度は腕にしがみついてきて、由紀は照れたように笑ってちょっとだけ俯いた
「ほら早く行こ!」
「こら引っ張るな!お祭りは逃げたりしねーから!」
「む~」
美波は一刻も早くお祭りに行きたいらしく止める俺を頬を膨らませて睨む
「ほら由紀、いつまで下見てんだ。行くぞ」
由紀はハッと顔を上げると慌てた様子で俺の横に来た
お祭りの会場は近くの神社で歩いてそう時間はかからなかった
「祐ちゃんあれ食べたい!」
「あれ……」
神社に着いた途端、美波と由紀はそれぞれ違う方向を指さしてその方向へ俺を引っ張ろうとする
「順番!順番にまわるから!」
そう言った途端、二人がピタッと止まった
「ど、どうした?」
「…………」
無言の二人を交互にオロオロしながら見ていると
「じゃん!」
「けん」
「ぽん!」
「ぽん」
突然じゃんけんが始まった
「あいこでしょ」
「あいこでしょっ!」
「あいこでしょっ!!」
勝ったのは
「勝ち」
「負けた~」
由紀だった
「じゃあ由紀の方から行くか」
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