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食べるの早いな。なんて思っていると目の前に綿菓子がぬっと現れた
「由紀?」
「一口あげる」
「え、いいよ」
貰うのもアレなので断るのだが、家を出た時みたくまた由紀が無言で見つめてきた
「い、いや。やっぱり貰うよ」
どうやら俺はこの目に弱いらしく断りきれずに一口貰うことにした
「あむ……ん、美味いな」
「うん」
由紀に貰った綿菓子は甘くて普通に美味かった
「あーあー祐ちゃん私のも食べて食べて!」
「え……な、何で?」
由紀のを食べ終わると突然美波が騒ぎ出して俺に綿菓子をぐいぐいと押しつけて来始めた
「ちょっ、分かった、分かった。食べるから!」
そう言うとやっとのこと綿菓子を押しつけるのを止めてくれた。だが何度も押しつけられたせいで俺の顔、主に口の周りはかなりベトベトになってしまった。それに触るとねちゃねちゃするし、少しずつ乾きだした所が固まり始めた
「うん、美波のも美味いな」
まあ二つの綿菓子は同じ所で買った訳だし、違う所で買ったとしてもお祭りで売っているものなんて大差はないと思う
「あ、ちょっと口洗って来るからあそこで待ってて」
ベンチを指さし美波と由紀にそこで待ってるように言って俺は水道のあるところまで走った
水道で口の周りを洗って戻ると何故か美波しかいなかった
「あれ由紀はどうした?」
「由紀の行きたい所先に行ったから、たこ焼き買ってくるって言って行っちゃった」
「俺が帰ってくるまで待っててくれればいいのに」
そんなこと言ってもしょうがないのでベンチに腰掛けて由紀を待つことにした
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