エドワード・ゲイン

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その日から、 ゲインは一人きりになった。 文字通りの独り、 孤独である。 しかし物静かで 汚い言葉などいっさい使わないゲインは、 決して近隣の住民に嫌われていたわけではなかった。 収穫の季節にはみんなから引っ張りだこにされていたし、優しいゲインはそれを手伝っていた。 近隣の住民から見たエディは、 「ちょっと変わった、 無能な優しいぼんくら」であった。 その状況が打破されたのはゲインが51歳の初秋のことであった。 ことの起こりはプレインフィールドの 「何でも屋」の女主人、 バーニス・ウォーデンが行方不明になったという事件だったが、 恐らく最後に彼女と接触したであろう、 「間抜けのゲイン」の家に 半信半疑ながらも操作隊が 懐中電灯を手に踏み込んだ。 懐中電灯のスイッチを入れた瞬間に、 彼等は"それ"を見る定めに立っていた。 鹿肉の様に手際よく断首され、 綺麗に内蔵を掻き出されたのち血抜きされ逆さにつるされたウォーデン夫人の無惨な死体を。 否、最早"それ"は人ではなく"肉"であった その死体の奥の、 汚物と埃にまみれた家の中で使われている数少ないゲインの部屋は、 さらに操作隊の度肝を抜いた。  
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