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当然一家は喜んで賛成、
礼拝に行くときにつける
白いドレスを着させて、
目一杯のお洒落で送り出した。
フランク老人は
喜ぶグレースの手を引いて、
一礼をして立ち去った。
しかし、翌日になっても
グレースは帰ってこなかったのである
一家はフランク老人の
妹の邸まで行ってみたところ、
コロンバス通りは
109番地までしかないのが分かり
両親は泡を食って警察に駆け込んだが、
グレースの行方はおろか、
ハワード老人の身元さえ割り出せない
有様だった。
バッド一家が真相を知るのは、
それからさらに6年も後のことである。
1934年11月、グレース・バッドの母親は
署名のない一通の手紙を受け取った。
内容は、以下のようなものであった。
「私には船乗りの友人がおり、
その友人には
人間嗜食の癖ががありました。
常日頃彼の話を聞いて実行してみたいと
思っていた私ですが、
昼食をご馳走になったあの日
私の膝に乗ってきた
可愛いお嬢さんの笑顔を見て
決心したのです。
この子を食べてみよう、と…」
手紙はなおも続く。
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