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ボォ―――――……
遠くで、汽笛が聞こえる。
まだ早朝だというのに、その船はもう出航するらしい。
僕――マードックは、仕事の手を一旦止めて、眼前に広がる海を見る。
朝の海は素敵だと、僕は思う。
暗い空と、黒く重い色をした海。
今はまだそんな風に見えるけれど
あと1時間もすれば太陽が昇ってきて
暗い空は白くなって、やがて綺麗な青色に変わって
海は吸い込まれそうな深い青色になって、キラキラと太陽光を反射する。
そんな風景が大好きで、海が見れる仕事に就きたいと、うんと小さい頃から夢見ていた。
小さい頃からの夢だった航海士になれたのは、つい先日のこと。
ついに念願が叶ったんだと思うと、顔も思わず綻んでしまう。
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