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  最後まで聞いたのに、今さら両手で耳を押さえ 布団の中にうずくまる。 今まで、何も考えず 何となく毎日を生きてきたウチに、初めて死への恐怖がうまれた。 頭が混乱して訳が分からん…。 少し経ち、扉の開く音がした。 二つの足音が、自分の方へ近づいてくる。 咄嗟に耳にあてた両手を離して、パ二くっている自分を落ちつかせる。 聞いてなかったフリをして、顔や態度に出さないように必死にいつも通りの自分を作った。 でも…その日からウチは、段々と口数が減っていった。 ……怖い…… 『もうすぐ帰れるから頑張ろな!』 手に取るように分かる、無理矢理作る辛そうな笑顔を見るのが辛い。 帰れないと知ってるのに、毎日聞かされる その言葉が辛い。 自分は死と隣り合わせやのに、親を困らせないように と堪える必死な幼心。 けど… “もう帰れる” そんな嘘を聞くのも、辛さの限界やった。
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