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男は2,3歩歩いて足を止め、頭だけこちらに振り向いた。
『穂稀さん、渓 星丸(タニ ホシマル)くんと、藤澤 美雛(フジサワ ミヒナ)さんをもちろんご存知ですよね?』
男は唐突に言い出した。
あたしの恋人と親友の名前を。
あたしがそれにコクリと頷くと、男はまた向こうを向いてしまった。
しばらくそのまま微動だにしない男をあたしはじっと見つめていた。
長い沈黙の後、男は口を開いた。
『君に与えられた選択期間は半年間。今日から12月1日まで。
君の恋人、星丸くんか、君の親友、美雛さん、どちらかを選択して下さい。』
「…選択って何を?
何を2人から選ぶの?」
すると男は体ごと振り向いて、決心する様に答えた。
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