真っ白な男

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      はあはあと肩で息をする影山の首から命が流れ出している。白く整った肌には良く紅が映えて、とても綺麗だと思った。向井は汗混じりのそれに舌を這わせて丁寧に舐め取り、喉の奥へとゆっくり流し込む。やっぱり当たり前に血の味がした。血の味、影山の味。影山暁生の血の味。     「腹減った……なー、肉、あかんかな」     「夏場やしヤバいやろ、さすがに……」     「……肉なしカレーかあ」     「お前のせいや」     「なんやねん、むーちゃんもその気やったやんかー」     目尻にくしゃりと皺を作りこぼれる笑顔が眩しい。暴力とセックスだけが生きていくための支えで、2人を繋げるものだった。いや、それ以外に必要がないのだろう。     「……なあ、アキ」     「なにー?」     「俺らってクズやな」     「は、それこそ今更やん」     狭いアパートの一室に、2人の男の笑い声が響いた。窓の外、どこか遠くの方でパトカーのサイレンが聞こえた気がしたが、それすらも面白くて腹を抱えて笑い転げた。ほとんど腐りかけた肉と洗面台の引き戸に飛び散った精液はイコールだ。俺達の命なんてそんなもの。そうだ、ずっと前から俺達はクズだった。だったらそれでいいじゃないか。そんな意味もないことをひたすら話して、また笑って、立ち上がる気力もなくその場で横になりイビキをかいた。      
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