真っ白な男

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      ――――――――――――――     向井が目を覚ますと、影山はすでにいなかった。飲み物でも買いに行ったのだろうか。時計を見れば時刻はもう20時を過ぎている。体がべたついて起きぬけから不快で、風呂に入らずに寝てしまったことを後悔した。なんとか気だるげに体を起こして風呂場へ直行し、シャワーの蛇口を捻る。冷たい水を頭から浴びて何もかもリセットするような気持ちになれた。ざあざあと床を叩く水の音に不思議と安心する。本当はざぶりと全身水に浸したかったが、湯舟は空っぽでしばらく洗っていなかった。最早癖になっている舌打ちの音が浴室に響き、瞬間的にイライラした。     風呂から上がるとライトがチカチカと点滅しているのに気付いて、向井は髪をタオルで拭きながら携帯を開いた。新着メール3件、着信2件。全て『影山暁生』からである。     ――――――――――――――     TIME:17:02 FROM:影山暁生 件名:むーちゃん   本文:晩飯何がええ?     ―――――――――     TIME:17:13 FROM:影山暁生 件名:おーい   本文:まだ寝とる?     ―――――――――     TIME:17:25 FROM:影山暁生 件名:飯   本文:カレーにしますよー     ―――――――――       着信は2回とも、17時10分にかかってきていた。スーパーはここから歩いて15分ほどの距離。いくらなんでも遅い気がする。      
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