――第六章――

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シェーンは、セカンドセットで男が『降り』を宣告したことに、あまり理解ができなかった。 それもそのはず、ファーストセットで男は勝ち数1を手にしているのである。 そのアドバンテージを『降り』によって、0にしてしまった。 敵を撹乱させるために宣告したのかもしれないが、それでもリスクが大きすぎるからだ。 となると、やはり男には何か別に意図することがあるに違いない。 もしそうなら、このサードセットも何かを仕掛けてくる。 こうした考えから、シェーンは「2」を手に取った。 「2」であれば、仮に男がまた『降り』を宣告したとしても、自分の手札には強いカードが残る。 もし相手が降りなくても、自分から降りてカードを流せばいい。 そういう理由からだ。 シェーンがカードを出すと、男もカードを出した。 すると男は言った、 「今回も、『降り』だ。」 そう、シェーンの予想は的中したのだ。 しかも、勝ち数が2になり、勝利にリーチがかかった。 しかし、シェーンはそれを全く顔には出さず、勝負は黙々とフォースセットを迎える…
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