――第九章――

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「すり替えたんだよ。『A』と『4』をな。」 「すり替えた…だと?」 「フォースセットの時、あんたはずっとカードを見つめてた。 その隙に、俺は流したカードの中から、サードセットで出した『4』を取り出したんだ。 そして、手元の『A』は下に隠しておき、『5』と『4』を見せたんだ。 あんたはルール説明の時、一度出したカードは使えないとは言ったが、手に取っていけないとは言っていない。 カードは横に流さず、捨てるべきだったんだよ。」 「くっ… だが、あんたはなぜ私が最後のセットで『5』を出すことが分かったんだ…!?」 「ショートケーキだよ。」 「ショート…ケーキ…?」 「そうさ、ゲーム前にあんた、ショートケーキを食べてただろ? あの時、イチゴを最後に残していた… 人間ってのは、普段の行動には性格が出ちまうもんだからな。 それを思い出したのさ。 だから、俺はゲームにおいても、あんたが『5』をとっておき、最後に潰しにくると考えた。 見たところ、かなりの負けず嫌いって感じだったしな。 勝負はゲーム前から始まってたってわけさ。」
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