――第十章――

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男は全てを教えた。 シェーンは生まれて初めて、大きな敗北感を味わった。 興奮はおさまり、穏やかな口調でシェーンは話し出した… 「完敗だったわ…。 私は、今までの人生、ずっと勝ち続けてきたわ。 だけど、それと同時に何か大切なものを失っていたかもしれないわ…。 3億はあなたのものよ。 受け取りなさい。」 シェーンが小切手に「3億」と書き込んだ。 男はそれを受け取ったが、すぐにそれを破り捨てた。 「あんたは、何よりも大切なものを手に入れた。 この金は、今までひどい目に合わせてきた人たちのために使いな。」 そう言い残すと、男は席を立ち、出口へと向かった。 「待って! あなた、名前は何て言うの!?」 男は、振り返ることなく、その場を立ち去っていった…
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