さつきまつ

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すっかり癖になってしまった独り言が昇華される前に、携帯電話が鳴った。 ブーブーと地なりのように床で震える小宇宙に彼女はため息をついてベランダへでた。 「何、今日は忙しいから無理だから。じゃ、」 待てやぁあ!!!と怒鳴り声がする。 彼女は素直に待った。 沈黙が続いた。 「……待ってますが。」 「そのまま聞いてくれ。ヤバいんだ。車ぶつけた。」 「誰に!!」 「いや、対人じゃなくて、」 「なんだ、電信柱かどこかに?ドジだな。どんまい。」 彼女は鼻孔をくすぐる春の陽気に息をついた。 感情を含まない慰めの言葉に電話相手はつっこみもせず、違うんだ、と続けた。 「車同士なんだよ。参ったわー…どうしよう。警察に電話すんのなんて初めてだよ。どうしよう。」 「私に電話する前にさっさと警察に電話しろよ!!」
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